新世紀エヴァンゲリオン碇シンジの父親、碇ゲンドウ。寡黙で普段はほとんどしゃべりませんが、要所要所で人生の本質を突くような素晴らしい名言を残しています。
特に新世紀エヴァンゲリオンは「他者との関係」というのがテーマとして存在しており、碇ゲンドウが作中で目指していた人類補完計画も「すべての人類が一つになり、互いに理解し合える世界」を作ることでした。
それゆえに、碇ゲンドウの名言には、人間関係の真理をつき、また人間関係の悩み解消のヒントになるような名言を多く残しています!
本記事では、碇ゲンドウの名言を心理学的な知見を交えて解説し、対人関係の悩みを解消できるような知恵をお届けします!
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寡黙なNERV総司令官 碇ゲンドウ
碇ゲンドウは、NERVの総司令官で、主人公碇シンジの父親です。
非常に寡黙な男で必要以上の発言は一切しません。無精ひげをたくわえて、サングラス越しに鋭い眼光を放つ、非常に近寄りがたいを雰囲気をもった男です。
NERVの総司令官として使途と戦う裏側で、人類を一つにして互いが完璧に理解しあえる世界を作るという「人類補完計画」を画策しています。その本当の意図は、エヴァンゲリオン初号機と一体化してしまった妻、碇ユイと再び出会うことにありました。

その碇ユイが大好きというのも碇ゲンドウの特徴です。それゆえに、ユイの体をサルベージしてできた綾波レイを寵愛したりします。しかし、その一方で、開発担当の赤木親子と愛人関係を持つなど、中々クズな一面も持ち合わせております・・・
碇ゲンドウの人間性などについて、詳しくは下記をご覧ください。

碇ゲンドウの名言を心理学的に解説!
碇ゲンドウの名言:人と人が理解し合うことは決してできぬ 人とはそういう悲しい生き物だ
シンジと一緒に碇ユイの墓参りに行ったときに、シンジに向かって人間関係の真理を語った碇ゲンドウの名言です。
人間とは、本当の意味で、互いに理解しあうことはできない。だからこその「人類補完計画」というロジックだといえます。
ちなみに、この墓参りのシーンは、碇ゲンドウとシンジが珍しく二人でお出かけしたシーンであり、またこれ以降、碇シンジが父親との心的距離を縮めたことが影響して、エヴァとのシンクロ率が上昇、天才のアスカを上回るまでになります。
碇ゲンドウの「人間が他者を正しく理解することはできない」という名言は、実は科学的な研究によって明らかになっています。それは人が物事を客観的に見られず、自分の偏った見方による歪んだレンズを通して物事を見てしまうことに起因しています。
コロンビア大学のハイディ・グラント・ハルヴァーソン博士は下記のように述べています。
認めたくない事実ですが、私たちは自分がこう見られたいと思うようには、他人から見られていません。人間は、自分を完全に客観的に見ることも、他者を客観的に見ることもできないからです。
私たちには、他者の自分に対する反応を自分の見方に合うように歪めてしまう強い傾向があります。このことは、たとえ頭でわかっていても、それが実際に起きているときに気づくことはありません。
引用:『だれもわかってくれない: 傷つかないための心理学』ハイディ・グラント・ハルヴァーソン (著), 高橋由紀子 (翻訳)(早川書房,2020年,16項)
つまり、碇シンジが「わかってよ!」「どうしてもみんなわかってくれないんだ」と嘆くのはもっともで、基本、人は他者を正しく理解することなどできないのです。
最たる例は、人種差別でしょう。歴史の中で培われた誤った認識が、対象の理解をゆがめてしまうのです。
人は他人を見たいように見ており、また同時に、自分をもっと理解してもらおうという努力も不足しがちであると、ハイディ・グラント・ハルヴァーソン博士はいっています。
これは人が認知的エネルギーをケチる「認知的倹約家」という点に理由があるとしています。
人は、必要だと思えることだけ考え、それ以外は考えずに、脳のリソースをケチる傾向があるのです。(脳は非常に膨大なエネルギーを消費する器官であるため、基本期には省エネ運転になるのです。)
この認知的倹約家から生まれるのが確証バイアスという現象で、人間は自分の論を立証する情報にしか注意を向けないという心理バイアスです。
つまり、自分の中ですでに答えが決まっていて、あくまでその答え合わせのような情報収集しかしないという心理です。
この自分の中ですでに決まった答えが、認知をゆがめるレンズになるのです。「アジア人=劣等人種」であるという意識があれば、その劣等人種であるという証拠探しばかりを無意識でしてしまうのです。
碇ゲンドウのいう「人と人が理解し合うことは決してできぬ」というのは、人間の脳の仕組みに起因した真理なのです。
碇ゲンドウの名言:人は一人で生きていけない。だから、お互いに補完し合わねばならない。そうしなければ生きていけないからだ
エヴァンのテレビ放映版の最終話における、碇ゲンドウの名言です。
人間は社会的な動物であり、現代社会においては基本的に人と協力し合わなければ、人は生きていけません。
また人体の健康においても、人は孤独だと早死にするというのが研究によって明らかになっています。
ブリンガムヤング大学の研究で、過去に行われた「孤独と健康」に関する148件の論文から308,849件のデータを精査したところ、「良好な人間関係」をもつことが、寿命を延ばす要素として一番高いという結果が出たそうです。
なんと、孤独な人が友達を作ると、最大で寿命が15年も延びる可能性があるそうです!
人は、互いに認知の歪みがあるゆえに、理解しあうことは難しい。それでも孤独でいることは社会的にも、健康的にもデメリットが大きいのです。だから、できる限り、他者と関係を持つべきといえます。
しかし対人関係に悩みは付き物であり、人間の悩みの大半は対人関係が起因しているといっても過言ではありません。恋愛関係、仕事関係、親子関係、友人関係など様々です。
以下では、碇ゲンドウの名言をあげつつ、対人関係における悩みを軽減させる心理学的な知見を紹介していきます。
碇ゲンドウの名言:自分の願望は、あらゆる犠牲を払い、自分の力で実現させるものだ。他人から与えられるものではない
新劇場版エヴァンゲリオン・破で、碇シンジに向けて言った名言です。
碇ゲンドウが、アスカがテストパイロットとして搭乗していた3号機を、シンジが搭乗している状態で初号機の操縦権を奪って破壊させたことに、シンジが激怒。
シンジが初号機を使って、ネルフ本部を破壊するぞ・・・!と碇ゲンドウを脅して駄々をこねた名シーンです。
駄々をこねて文句を言うシンジに一瞥もくれずに、「LCL圧縮濃度を限界にしろ」「子供の駄々に付き合っている暇はない」と冷たく言い放ったのは非常に印象的でした。
これがきっかけで、シンジがネルフを去る事になった時にゲンドウが言った名言です。
アドラー心理学では、対人関係の悩みを一気に解消する方法として、他人の行動に期待したり、他人からの承認を求めることを一切捨てることとしています。
他者が与えてくること、他者が承認してくれることを「他者の課題」として、そんな自分がコントロールできない他者の課題には介入しないことが対人関係の悩みを解消するうえで重要だとしています。
碇シンジは、作中において、とかく他者からの承認を求めがちです。エヴァンゲリオンに乗る動機も父親である碇ゲンドウに認めてもらうためという受け身の姿勢であります。
ちなみに、アスカが精神崩壊を起こしたのも、この承認欲求が起因しています。詳しくは下記をご覧ください。

他者からの承認を求める気持ちは人間には生来備わっているものですが、この承認を強く求めすぎることは、自分の人生のコントロール権を失い、他人の人生を生きることにつながってしまうのです。
自分の人生の主導権を自分で握っているというコントロール感は、幸福な人生に必要不可欠なものです。
その点について、アドラー心理学の本で有名な『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』には下記のように述べています。
自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです、一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。
引用:岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社,2013,147項)
上述した通り、人は他者を本当に理解することはできません。そんな他者からの理解や承認を求める行為は、無意味な行為ともいえます。
そんな他人からの承認は「他者の課題」として切り離してしまうことが、対人関係における悩み解決す有効な方法なのです。
その時に、シンジの背中を押したのが、葛城ミサトの以下の名言です。
行きなさい!シンジ君!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために!
自分自身の思いが起点になることを「内発的動機付け」といい、他人から言われたことによる動機づけよりも、より強い動機が生まれる心理作用が働くのです。この名言については、下記解説していますので、ぜひご覧ください。

碇シンジは「自分の体も、世界がどうなってもいい」綾波レイだけは助けると言って、自分自身の願いである綾波の救出に向かうのです。
まさにこれは伏線回収ともいうべきでしょう、碇ゲンドウの放った「自分の願望は、あらゆる犠牲を払い、自分の力で実現させるものだ」というのを体現しているといえます。
碇ゲンドウの名言:人は思い出を忘れることで生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある
新世紀エヴァンゲリオン 第拾伍話 「嘘と沈黙」における名言です。
これも碇ゲンドウとシンジが、碇ユイの墓参りをした時の名言です。シンジが墓前を前にして、いまいち母親のことを覚えていない、ここに母親が眠っているといってもピンとこないっと言ったことに対して、ゲンドウが返したセリフです。
ゲンドウは、シンジに、ユイは自分にかけがえのないものを教えてくれた。その確認のために墓参りに来ていると語っています。
人は思い出を忘れることで生きているというのは実は科学的にも証明されつつあります。
トロント大学の研究によると、脳の中には記憶の喪失をうながずメカニズムがあり、古い記憶を消そうとする脳の働きがあるのです。
親しい人との死別など、悲しい出来事から人が立ち直れるのもこういった忘却の機能が脳に備わっているからと言えます。
ちなみに、これと近い名言を、渚カヲルも作中で残しています。
人間は寂しさを永遠になくすことは出来ない。人は一人だからね。ただ、忘れることが出来るから、人は生きていけるのさ。引用:(C)カラー/EVA製作委員会

その他印象的な碇ゲンドウの名言まとめ
碇ゲンドウの名言:乗るなら早くしろ、でなければ帰れ
第一話で、シンジに対して放った名言です。
数年間育児放棄をしていたシンジをいきなり呼びつけて、何の説明もなくエヴァに乗って使途と戦えと無理難題を押し付けました。
数年ぶりに再会した、息子に対してこの態度はあまりにも冷たすぎますね・・・
碇ゲンドウの身勝手さが際立つ名言です。
碇ゲンドウの名言:話は聞いた。良くやったなシンジ
新劇場版:破にて、第8使徒殲滅にて活躍したシンジを労う碇ゲンドウの名言です。
ミサトに対して、わざわざ初号機パイロットにつなげるように依頼したうえで、碇シンジに直接労いの言葉をかけるというのは非常に珍しい行動です。
この碇ゲンドウの言葉にはシンジも驚きを隠せないようでした・・・
しかし、その後すぐに起きたエヴァ3号機の使徒乗っ取り事件で、再び親子の亀裂は深まり、修復困難な状態に陥ってしまいました・・・
碇ゲンドウの名言:子供の駄駄に付き合っている暇はない
新劇場版:破で、アスカが乗ったエヴァ3号機が使途に乗っ取られた際、碇ゲンドウは『使途』として殲滅をシンジに命じました。
しかし、シンジはアスカを攻撃するなら『自分が死んだ方がマシだ』と言って攻撃を拒否しました。
そんなシンジの意向を無視して、ゲンドウは初号機のコントロールを奪い、ダミープラグで初号機を操り、アスカの登場したままのエヴァ3号機を破壊しました。
自分にアスカを殺させようとしたことに憤ったシンジは、エヴァ初号機でネルフを本部を破壊すると脅しました。
そんなシンジに対して上記の発言をして、LCL圧縮濃度を全開にして意識を奪いました。
『よくやったな、シンジ』とねぎらいの言葉をかけて親子仲が修復するかと思いきや、この一件で完全に亀裂が入ってしまいました。
碇ゲンドウの名言:構わん。おとりぐらいには役に立つ
TVシリーズで、アラエルの精神攻撃でメンタルがボロボロになっていたアスカ。
エヴァに乗れるような状態ではありませんでしたが、碇ゲンドウは『構わん。おとりぐらいには役に立つ』と出撃を命じました。
アスカを待機させるつもりだったネルフ職員たちも、この碇ゲンドウの発言にはドン引きしていました・・・笑
碇ゲンドウの名言:冬月、俺と一緒に人類の新たな歴史を作らないか?
第弐拾壱話 : ネルフ、誕生にて、開発途中のエヴァ零号機を冬月に見せて語った名言です。
ゲンドウが、珍しく胸が熱くなるような言葉を語ったのが非常に印象的でした。
碇ゲンドウの名言:かつて誰もが成し得なかった神への道。人類補完計画だよ
第弐拾壱話 : ネルフ、誕生にて、エヴァ初号機の実験で碇ユイが消失した後、1週間の失踪を経て戻って来た碇ゲンドウが冬月コウゾウに言った名言です。
碇ゲンドウの壮大なる計画がここから始まったと感じられる印象的な名言です。
碇ゲンドウの名言:すまなかったな、シンジ
旧劇場版にて、エヴァンゲリオン初号機に喰われる前の碇ゲンドウの最後の言葉。
人類補完計画が実行され、全ての人類がLCLへと溶けていく中で、碇ゲンドウは念願のユイとの再会を果たしました。
「自分が人から愛されるとは信じられない。私にそんな資格は無い」「私が側にいてもシンジを傷つけるだけだ」とユイに告白した碇ゲンドウ。
しかし、自ら遠ざけていたシンジが、親子の関係を望んでいたことを悟り『すまなかったな、シンジ』と語り、碇ゲンドウはエヴァ初号機に食われました。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?クズ親父のように見えて、意外と心理をつくような名言を残しているのが碇ゲンドウの特徴です。
碇ゲンドウに学ぶ対人関係悩み解消法をまとめると下記のようになります!
- 「人と人が理解し合うことは決してできぬ」・・・人は認知バイアスから逃れることはできず、他者を正しく理解することは不可能に近い
- 「人は一人で生きていけない」・・・人は理解しあうのが難しくても、孤独では生きていけない。孤独が寿命を縮める原因にもなる。
- アドラー心理学では、他者からの承認や、他者への期待を切り離すことが人間関係の悩みを解決する重要なポイントとし、これを「他者の課題」の切り離しとしている。
- 他者の承認を求めるのではなく、自分自身が最善の選択を選ぶという「自分自身の課題」にのみ集中をすることが、対人関係に悩まなくなる第一歩につながる。