エヴァ世界における黒幕の一人である碇ゲンドウ。碇ゲンドウが目論む真の目的とは何のか、旧TVシリーズと、新劇場版との違いを踏まえて徹底解説していきます。
碇ゲンドウの目的達成(ユイと再会する)ためなら冷酷非道なことも平気で実行に移せてしまうヤバい性格特性や、
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qにおけるゲンドウの狙いも併せて考察していきます。
目次
ネルフ総司令官・碇ゲンドウとは?
碇ゲンドウは特務機関NERV総司令であり、主人公・碇シンジの父親です。
主人公のシンジの父親とは思えない、厳ついひげ面にグラサンが特徴的。

性格は冷酷非道で目的のためなら手段を択ばない節があり、作戦遂行のためなら殺人・謀略・裏切りなんでも平気で実行に移します。
息子の碇シンジですらも、平気で捨て駒扱いする、なかなかのクズオヤジです。

ネルフの総司令官として使徒殲滅を指揮する裏では、秘密結社ゼーレのシナリオの下「人類補完計画」を遂行するという裏の顔がありました。
碇ゲンドウは、さらにゼーレに対しても完全に服従しているわけではなく、ゼーレに従いつつも最終的には、自分が望む形での人類補完計画の実行を目論んでいます。
ゼーレと人類補完計画とは?
ゼーレとは、太古より世界を裏から支配していると云われる秘密結社。使徒の襲来など未来を予言した「裏死海文書」に基づき、人類補完計画を遂行することを目的としています。
ゼーレは秘密機関である人類補完委員会を通して、NERVに指令を下して、人類補完計画を進めていました。
人類に多大なるダメージを与えた大災害であるセカンドインパクトを引き起こしたのも、「裏死海文書」のシナリオ通りにゼーレらの手で人為的に引き起こされたものでした。
人類補完計画は、明確な答えが公式から提示されているわけではありませんが、劇中の言葉をそのまま借りると「出来損ないの群体として既に行き詰まった人類を、完全な単体としての生物へ人工進化させる計画」ということです。(よくわからない・・・)
「知恵の実」を与えられた人類は、個体として群れて、互いに争い、傷つけ合う脆弱な生き物でした。一方「生命の実」を与えらえた使徒は、他者を持たず一人で永遠に生きられる完全な単一生命体でした。
人類補完計画は、知恵の実を持ったヒトに生命の実を与え、使徒と同等の完全単一生命体に進化させる事である。これにより人類は一つの完全なる生命体となることで、争いはなくなり魂の安らぎが訪れるというものでした。
しかし、この人類補完計画の発動には複数のルートがあり、ゼーレと碇ゲンドウでは、それぞれの思惑が異なり、対立が表面化していきました。
碇ユイの消失がすべての原点
ゲンドウの妻・碇ユイは、エヴァの開発初期から携わっていた研究者でした。
碇ユイが設計・開発したエヴァ初号機へのダイレクトエントリーを行う実験の際に、碇ユイはエヴァ初号機のコアと融合して消失してしまいました。
救出を試みたものの失敗し、ユイの肉体は永遠に失われてしまいました。ユイの肉体情報をサルベージして、それをもとに生まれたのが綾波レイです。
碇ゲンドウはそれ以降、初号機のコアと融合したユイと再会を果たすために、人類補完計画の遂行にまい進するようになります。
ユイの魂が宿ったエヴァ初号機を依代に、人類を一つにすることで、碇ゲンドウはユイと再会できると考えたのです。
つまり、殺人を犯したり、息子までも捨て駒扱いしてまで実行したいこととは、最愛の妻・ユイに再会することなのです。
碇ユイとの再会に並々ならぬ執念を見せる愛妻家が碇ゲンドウという男といっても過言ではないのです・・!
ちなみに、ユイ自身はゼーレのバックボーンがあり、自分の理想や目論見のもと、自らエヴァ初号機と融合したとされており、自分の意志でゲンドウの元から姿を消したのです。
それゆえに、すべての元凶・黒幕は碇ユイなどともいわれています・・・

旧TVシリーズの碇ゲンドウの目的と結末
碇ゲンドウの目的は、前述の通り、人類補完計画を遂行してユイと再会することにありました。
そのためにゼーレの指示のもとに、すべての使徒の殲滅を遂行していきました。(裏死海文書曰く、人類補完計画のためにはすべての使徒の殲滅が必要)
碇ゲンドウは、自らの主導のもとで人類補完計画を遂行するため、アダムを自らの手に移植して、綾波レイの中に眠るリリスの魂と融合させて人類補完計画を遂行しようと考えていました。(アダムは加持リョウジがベタニアベースから盗んだ)
碇ゲンドウが、ネルフや人類補完計画を私有化し始めていることを察知したゼーレは、すべての使徒殲滅後、戦略自衛隊をネルフ本部に送り込んで制圧を図りました。
ネルフ本部が襲撃を受けている最中、ゲンドウは、NERV本部地下に置かれたリリスの肉体と、自らの手に移植したアダムと、綾波レイの中にあるリリスの魂の禁断の融合を図り、人類補完計画を発動させてユイとの再会を果たそうとしました。
しかし、土壇場で、碇シンジの側についた綾波レイに、右手ごとアダムを奪われて、碇ゲンドウの思惑は叶いませんでした。
そして、碇シンジが搭乗した初号機を依代として補完計画が実行されることとなりました。
ゲンドウの思惑は外れたものの、人類補完計画が実行されて、全人類がLCLに溶ける過程の中で、ゲンドウは一応ユイに再会できていたようなので、悲願は達成されたとも解釈ができる最後でした。
新劇場版における碇ゲンドウの目的
新劇場版は、旧シリーズとは、キャラクター性やその展開など、様々な点で差異が生まれています。
ただ、碇ゲンドウの最大の目的が「碇ユイとの再会」という点は共通であると考えらえます。
エヴァQにおいてゲンドウは、「最後の契約の時が来る。もうすぐ会えるな、ユイ・・・」と語っていました。
また、冬月コウゾウは碇シンジに、ユイが実験事故で消失したことを話したうえで、「世界を崩すの事は造作もない。だが、作り直すとなるとそうもいかん。時と同じく、世界に可逆性はないからな。人の心にも。だから今、碇は自分の願いを叶えるためにあらゆる犠牲を払っている。自分の魂もだ。」と語っていました。
碇ゲンドウは、実験事故で消失してしまった、かつてのユイを取り戻すため、ユイと再会するために、あらゆる犠牲を払っていると解釈することができます。
ただ、旧劇場版では、自らの手に移植したアダムとリリスとの禁断の融合で人類補完計画を実行しようとしていましたが、新劇場版では、そのアダムを加持リョウジから受け取るシーンで、受け取ったものはアダムではなく、「ネブカドネザルの鍵」でした。
そのため、新劇場版において、碇ゲンドウが、どのような目論見の元に人類補完計画を実行に移そうとしているのかは未だ定かではありません。
その一つの伏線になっているのが、エヴァQにおいて、ゲンドウの計略によって、アダムの魂をもつ第1使徒でもあった渚カヲルが第13使徒に落とされたシーンです。
これは、渚カヲルに代わって、第1使徒アダムのポジションを碇ゲンドウ自らが担うことで、旧劇場版同様に、リリスとの禁断の融合で人類補完計画を実行に移そうとしていることの伏線なのかもしれません。
エヴァQにおける、ゲンドウの狙いとは、渚カヲルを第一使徒の座から引きずり降ろして、自らが第1使徒(アダム)の位置について、リリスと融合を果たすためとも考えられます。
妻に会うためなら何でもするクレイジーな愛妻家
碇ゲンドウは、究極、碇ユイに再会するためなら全人類を滅ぼしても構わないクレイジーな愛妻家なのです。
このように目的達成のためには、平気で他人を利用したり、貶めたりする人格を、マキャベリストなどと呼びますが、ゲンドウの行動はまさにマキャベリスト的といえます。
マキャベリストは、サイコパス、ナルシストと並び、悪の三大気質・ダークトライアドと呼ばれ、精神医学の世界で、最悪の性格とされています。
ゲンドウは、サイコパス的な側面もあり、作中では不器用な人などと言われていますが、不器用では済まされないほどの、目的達成に対する冷酷さと狡猾さを持ち合わせた危険人物なのです。