通常の人よりも刺激に敏感だったり、周囲の空気を敏感に感じ取ってしまうことで、必要以上に心労を抱えてしまう繊細な人のことをHSP(Highly Sensitive Person)と呼びます。
グローバルな競争が激しくなる中、企業が従業員に求める仕事のクオリティは上がり、その中で成果を出すには心身ともに強靭であることが必要不可欠になってきています。
その中で、繊細な心を持つHSPの特性が足を引っ張って仕事に支障をきたしてしまう人も多くいます。
クレヨンしんちゃんに登場する春日部防衛隊のメンバーの一人「マサオくん」は、まさにこのHSPの特徴を体現するキャラクターです。
クレしん一の泣き虫マサオくんとは?
マサオくんは、しんちゃんと同じふたば幼稚園のひまわり組の園児で、しんちゃんをはじめとした、風間くん、ネネちゃん、ボーちゃんと一緒の春日部防衛隊のメンバーの一人です。
性格は、「泣き虫」「弱虫」の言葉がピッタリのいじめられっ子。
作中では、よく不良少年に絡まれて、遊んでいた遊具を横取りされたり、読んでいるマンガを取られて、泣きを見ている可哀相なキャラです。(だいたい、そのあとしんちゃんが懲らしめてくれます。)
同じ春日部防衛隊のネネちゃんにも全く頭が上がらず、いつもネネちゃんのリアルおままごとに巻き込まれ、怖くて文句も言えずに従っています・・・
また、同じひまわり組のスーパーお金持ちの酢乙女あいちゃんのことが好きですが、あいちゃんはしんちゃんにゾッコン。
マサオくんが献身的に、アプローチしても奴隷くらいにしか扱われていません・・・辛い・・・
繊細過ぎる!?HSPとは?
引用:© 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK
HSPという概念は、アメリカの心理学者エイレン・アーロン博士が提唱したのが始まりです。
このHSPという概念は近年、日本にも広まり、「敏感すぎる人」「とても敏感な人」などと訳されて多くの関連書籍がでています。
エイレン・アーロン博士が行った調査によると、「生まれつき繊細は人」が5人に1人の割合で存在することがわかったそうです。繊細さは性格や環境によるものではなく生まれた気質ということです。
ハーバード大学の心理学者ジェローム・ケイガン氏の調査によると、繊細な人は赤子の頃から刺激に反応しやすいという結果がでたそうです。
同じ刺激を受けても手足を大きく動かしたり、同じストレスにさらされたときに、神経の高ぶりに関連する物質が多く分泌され、神経が高ぶるときに分泌されるコレチゾールも多く分泌されたそうです。
マサオくんにみるHSPの特徴
それでは、作中にみられるマサオくんのHSP的反応を見ていきましょう。
自分に自信がない
HSPの特徴の1つに自分に自信を持つことができないという点が挙げられます。
HSPの方は、繊細ゆえに不安を感じやすい性格です。それゆえに、仕事での確認作業が多くなったり、1つの仕事を仕上げるのに必要以上に時間をかけてしまう場合があります。効率を求められる職場にあっては、その仕事の遅さが自信の喪失に繋がってしまう場合があります。
マサオくんも、自分に自信が全くありません。例えば、映画「爆盛カンフーボーイズ」では、思うようにカンフーを修得できない状況に「どうせ僕なんか」と、飛び出して行ってしまうシーンがあります。
他にも、意中の女の子であるあいちゃんに対しては、「どうせ僕なんか・・・」と卑下してしまい、好きな想いを告げられずにいるなど、大胆に行動ができるしんちゃんとは対照的に、消極的になりがちです。
他人の機嫌に左右される
引用:© 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK
HSPの人は、周囲の空気や人の機嫌を善し悪しを敏感に察知します。感じ取りたくなくても、自動的に感じ取ってもしまうのが厄介な点です。
周囲で同僚がきつい口調で怒られていたり、不機嫌に仕事をしている人がいれば、「自分が何か悪いことをしたのでは」と考えすぎてしまうのがHSPの方の特徴です。
マサオくんも、幼稚園の先生や友達が怒っていることにすごく敏感に反応します。特にネネちゃんが機嫌を損ねているときは、それがマサオくんのせいではなくともビビりまくります。周りにいるしんちゃんが鈍感だから余計に、マサオくんのビビリ具合が目立ちます。
自分の意見が言えない
自己主張が苦手というのもHSPの人の特徴です。
日本人全体として、自己主張が苦手な人種とされていますが、輪をかけて苦手なのがHSPの方の特徴です。
マサオくんが、はっきりと意見するシーンはほとんどありません。ネネちゃんのリアルおままごとが嫌でも嫌とは言えずに、付き合わされ続けています・・・
すぐ泣く
感情に対する反応が敏感で、それ故に、「すぐ泣く、泣き虫」であるというのも特徴の1つです。
マサオくんが泣き虫なのは、しんちゃんを観たことある人はだれしもが、納得の行く点でしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
HSPの方は生きづらさもありますが、物事を察知したり深く分析したりする能力が高く、リスクテイクをして確実に仕事を進めるのは、得意な傾向にあるとされています。
HSP気質のある方は、自分自身の特性が活かせる環境を選ぶことが大事と言えます。
【参考】
・武田友紀『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』 (飛鳥新社,2018年)