魅力的なキャラクターが数多く登場する鬼滅の刃。
今回はそんな鬼滅の刃の第2回公式人気キャラクター投票で、上位を獲得したキャラクターの魅力を心理学を交えて解説していきます!
あのキャラクターはなぜ人気なのか?その魅力の正体がわかります!
目次
10位:栗花落カナヲ 5305票
人気キャラクター投票で10位を獲得したのは、鬼殺隊で、主人公・炭治郎の同期でヒロインの栗花落カナヲです。
幼少期に激しい家庭内暴力を受けたことで喜怒哀楽の感情を失った、非常に過酷な過去をもつヒロイン。
栗花落カナヲは、作中で最も大きく性格が変化したキャラといえます。もともとは、感情表現をしない無機質な女の子でした。
しかし、主人公の炭治郎との出会いをきっかけに、徐々に可愛い女の子らしい表情やリアクションを見せるようになっていきました。
最初は無機質で何を考えているかわからない女の子だからこそ、時折見せる女の子らしい表情が可愛く見えるのです。
このギャップで印象が変わることを心理学でゲインロス効果といいますが、栗花落カナヲの魅力を形作る一つの要因になっています。
9位:不死川実弥 5716票
9位は、風柱の不死川実弥です。
柱合会議で、初登場時した際は、いきなり竈門禰豆子を刀で突き刺すなど、その荒々しい態度が非常に印象的でした。
それ以降も、事ある毎に炭治郎や冨岡義勇と喧嘩したり、弟の玄弥にキツくあたるなどあまり良い印象はありませんでした。
しかし、終盤の上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)との戦闘で、実は、弟想いの良い兄貴という事実が発覚してから、不死川実弥の印象は大きく変わりました。
また、荒々しい態度とは裏腹に、実はおばぎが好きという甘党なところも、特に女性からは好印象だったのはないでしょうか。
加えて、不死川実弥の魅力は、その絶対に屈することのない不屈のメンタリティも特筆すべきでしょう。
圧倒的な格上の上弦の壱・黒死牟との戦闘で、内臓が飛び出そうなほどに深い傷を負っても一歩も引くことなく、自分の傷口を縫って戦闘を続行するという凄まじい精神力を見せました。
アメリカを代表する社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニ氏の世界的名著である『影響力の武器』によると、思想や言動に一貫性のあるブレない人間はより魅力的に映るといわれています。
不死川実弥の悪鬼滅殺の精神を徹底する、そのブレないところは、読者を惹きつける重要な魅力なっていると考えられます。
8位:伊黒小芭内 6204票
8位は、蛇柱の伊黒小芭内です。
伊黒小芭内が人気を獲得したのは、恋柱・甘露寺蜜璃をひたむきに思う一途な姿が描かれたことが大きいでしょう。
蛇の鬼が支配する呪われた一族に生まれ、オッドアイで男であるという珍しい特質を持っていたために、生まれながらに生贄として牢屋の中で育った伊黒小芭内。
そんな呪われた血筋のために、伊黒小芭内は、「一度死んで血の肉体を入れ替えなければ君の傍にいることすら憚られる」と自分自身を卑下していました。
それでも、伊黒小芭内は一途に甘露寺蜜璃を思い続けて、最後は、互いに想いを告げて、両思いとなって死んでいきました。
自分は相応しくないと自己卑下しながらも、甘露寺蜜璃を一途に想い、戦いの中でも気を遣って守ろうとする姿が印象的でした。
進化心理学の研究では『女性は強い男に守れたい』という願望があり、また当然浮気者の男よりも一途に自分を愛してくれる男性を求めています。
そんな女性にとっては、一途で王子様のように女性を守る姿を見せる伊黒小芭内(いぐろおばない)は、ある意味理想的な男性に映ると考えられます。
柱として、炭治郎をリードとして無残を追い詰める頼りになる姿と、王子様のように好きな人を守ろうとする姿が女性心理に深く刺さったと考えられます。
プラスでいえば、呪われた悲しき過去を持ち、自分を自己卑下してしまう性格は、遺伝的にネガティブな人が多い日本人には親しみやすく、親近感を覚えやすいというのも考えられます。
控えめなところは、なんだか応援したくなりますよね・・・!
7位:煉獄杏寿郎 8000票
煉獄杏寿郎は、劇場版・無限列車編の公開後であればもっと上位に食い込んでいたかもしれません。
上弦の参・猗窩座にたった一人で立ち向かい、炭治郎たちを守り抜いた強さや、強い精神力、ブレることのない正義感など、誰もが憧れるキャラクターです。
魅力を上げたらキリがない煉獄杏寿郎ですが、わずか2巻程度の活躍でここまで人気を獲得できたのは、煉獄杏寿郎が惜しまれつつも早々に退場してしまった点が、影響していると考えられます。
人間には、損失回避バイアスという、何かを得るよりも、何かを喪失してしまう方が、より印象や記憶に残りやすいという心理があります。
ワンピースのエース、NARUTOの自来也など、非業の死を遂げたからこそ、より読者の心に深く刻まれ、ことあるごとに「もしエースが生きていたら」「もし自来也が生きていたら」と、読者に想いを馳せさせる効果があります。
キャラクターを退場させるのはリスクが大きいですが、だらだらと延命させるよりも、惜しまれるようなタイミングで退場させた方が、結果として読者に強い印象を与えることもできるのです。
損失回避バイアスに加えて、人間には、完成していない未完成のものに興味がわくという心理があり、これをツァイガルニック効果といいます。
煉獄杏寿郎は、柱の中でも非常に高いポテンシャルを秘めていながらも、序盤で退場したために、「痣」「赫刀」「透き通る世界」などのパワーアップが実装されていませんでした。
「もし、煉獄杏寿郎が痣を発言させたらどれだけ強いんだろう?」「煉獄杏寿郎が無残戦で生きていたら、どれだけ活躍したんだろう」と、未完成のまま退場したからこそ、読者の妄想はより掻き立てられてしまいます。
このように、惜しまれながら退場したことも、煉獄杏寿を神格化させるほどのブームの一つの要因になったと考えられます。
6位:嘴平伊之助 8750票
嘴平伊之助は、風柱・不死川実弥と同様のパターンで人気を獲得したキャラといえます。
伊之助も初登場時は、竈門禰豆子の入った箱を守る我妻善逸をボコボコにするなど、まるで敵役かのような登場をしました。
しかし、そんな伊之助も、徐々に先見知らずゆえの天然な行動を見せるようになり、非常に親しみやすいキャラクターになっていきました。
さらに伊之助は徐々に人間的な感情を持つようになり、煉獄さんの死に際して大粒の涙を流すなど、仲間の死を憂い涙を流せるなど、非常に繊細で心優しい性格を形成するに至りました。
こういった、キャラクター性の変化が、嘴平伊之助の人気の大きな要因になっていると考えられます。
加えて、女性に見間違えられるほどの美形イケメンであるという点もポイントが高いと考えられます。しかも、普段は獣の皮をかぶっているために、そのご尊顔は滅多にお目にかかることはできません。
そのため、「希少性の原理(数が少ないものにより価値を感じる)」が働き、たまに映るそのご尊顔が、よりインパクトを残しやすくなっていると考えられます。
呪術廻戦の五条悟が、たまに素顔を見せると、その度に話題になるのも、たまに見せるからこそ、素顔を見せた貴重なシーンがよりインパクトを残すのです。
5位:胡蝶しのぶ 8787票
女性キャラで最も高い票を獲得したのが、胡蝶しのぶです。
胡蝶しのぶの魅力は、ミステリアスさと優しさの共存、そして知的な点にあると考えられます。
胡蝶しのぶは、那田蜘蛛山での初登場時から飄々とした態度で何を考えているのかわからない不穏さを漂わせていました。
小柄で可愛らしい外見に、柔らかい物腰ですが、鬼に対しては「目玉を穿り出して拷問する」などとドS発言を笑顔でしていた姿が非常に印象的でした。
一方、善逸や炭治郎など、傷ついた隊士たちには治療を施したり、勇気づけたり、献身的で優しい一面も持ち合わせています。
飄々とした態度の裏に、優しい一面や、ドSのような一面もあるなど、どれが本当の彼女なのか、掴み所のないミステリアスを漂わせています。
キャラクターデザイン的にも、ミステリアスさや不穏さを感じさせる効果のある「紫色」が多様されている点も、そのミステリアスさを際立たせています。
人間には、全容がわからない、不明瞭なものに、心惹かれてしまう心理があり、これをツァイガルニック効果といいます。
胡蝶しのぶの不穏で掴み所のないところに、知らず知らずの内に読者は惹かれてしまっているのです。
また、胡蝶しのぶは、小柄で鬼の頸を切り落とせないというハンディを、鬼を殺せる毒を開発して克服するという、非常に知的で努力家な女性です。
米国の社会心理学会が発行する学術誌「パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー・ブルティン」に掲載された研究で、105人の男性に、頭の良し悪しでその女性を恋愛対象にしたいかどうか尋ねたところ、「男性たちは自分よりも高い知性を持っている女性の方に好感度を示し、大きな関心を持った」そうなのです。
胡蝶しのぶの知性的な一面は男性ファンを魅了する重要な魅力の一つなのです。
4位:竈門炭治郎 9045票
主人公の炭治郎は4位の座に落ち着きました。
炭治郎の魅力は、人間臭さと、常軌を逸っするほどに真面目で優しい性格にあります。
ジャンプ漫画の主人公の中でも、炭治郎は、辛い時は弱音も吐くし、泣きたい時には涙を流す、普通の人間です。
同じ代表的なジャンプ漫画の主人公ワンピースのルフィ、ドランゴボールの孫悟空などとは、この点が大きく異なります。
この炭治郎の人間らしい一面が、読者から親近感を抱かせていると考えられます。似たものに好意を抱くことを、心理学では類似性の原理といいます。
一方で、常軌を逸っするほどに真面目で優しい性格の持ち主でもあり、この点は、誰も真似できないが見習いたいと思う炭治郎の特徴です。
炭治郎は、辛い、苦しいと思ったとしても、決して逃げようとはしません。目の前の課題に対して、真摯に取り組み努力を怠りません。
また、炭治郎は、非常に寛容で優しい性格の持ち主です。自分や妹の禰豆子の命を狙った鬼にでさえ、最後は哀れみの感情を向けることができます。
ペンシルバニア大学の研究で、寛大な人はよりイケメンに見えるというデータが出ており、メカニズムは未解明ではありますが、寛大な人はよりイケメンに見えるようなのです・・!
3位:時透無一郎 11948票
霞柱・時透無一郎が見事にトップ3に入りました。
時透無一郎の魅力は、記憶を取り戻してからの、性格のギャップにあると考えられます。
兄を鬼に殺された過去をもつ、時透無一郎は、事件のショックで記憶を失っていました。
その事件の影響か、記憶障害を起こしていたため物覚えが悪く、また他人対しても冷淡な態度で接するクールで辛辣な性格をしていました。
一方、刀鍛冶の里編で記憶を取り戻してからは、かつての明るく優しい性格を取り戻し、二つの性格が混在するようになりました。
元々がクールだった時透無一郎が、満面の笑顔を浮かべて炭治郎と話す姿は非常に印象的でした。この性格の変化の大きさは、栗花落カナヲに並ぶほどです。
さらに、上弦の壱・黒死牟との死闘では、そのかわいい外見とは、相反するような男らしい苛烈な戦い振りを見せました。
こういった、性格の変化や、外見に反するような強さと戦いぶりが、前述のゲインロス効果によるギャップを生じさせて、その魅力を引き立てていると考えられます。
2位:冨岡義勇 13281票
水柱・冨岡義勇が貫禄の第2位です。
作中初期から登場し、炭治郎を鬼殺の道へと導くなど、非常に重要な役割を果たしており、柱の中でも最も登場回数が多いキャラです。
最終選別試験で、錆兎に助けられて棚ぼたで合格できたことを、負い目に感じ続けるなど、ナイーブな性格の持ち主。
そのため、自分は柱の資格がないと感じているため、他の柱と距離を置こうとしますが、言葉足らずのために、その態度が反感を招くという面倒臭い性格でもあります。
そんな冨岡義勇がここまで人気なのは、そのクールな態度に反して、時折、熱くかっこいい一面と、天然でかわいい一面の二面性を持ち合わせている点にあります。
かわいい一面で印象的なのは、那田蜘蛛山で、胡蝶しのぶに「そんなんだから嫌われるんですよ」と言われ時に、真顔で「俺は嫌われていない」と切り返したシーンです。
アニメで描かれた際は、冨岡義勇の顔が原作よりもデフォルメされて描かれていたために、より一層、天然でかわいい感じが演出されていました。
また、仲の悪い不死川と仲良くなるために、今後は「おはぎ」を渡そうと思うと「ムフフ」と笑いながら語っていたシーンも、天然な冨岡義勇の代表的なシーンです。
クールで無口なのに、時折見せる天然でかわいい一面が、冨岡義勇に親しみやすさを与えています。
一方で、水柱として鬼と戦う冨岡義勇は非常に頼りになってかっこいいです。特に、自分を命がけで守ってくれた、姉の蔦子や錆兎の想いを繋いでいくと決心をしてからは、より熱い一面が垣間見えるようになりました。
中でも、上弦の参・猗窩座との戦闘では、気を失った炭治郎を狙う猗窩座に対して、「炭治郎を殺したければ、まず俺を倒せ・・・!!」と言って炭治郎を守ろうとしたのが非常に印象的でした。
このように、時折見せる、かっこいい一面とかわいい一面の二面性が印象的に描かれているのが冨岡義勇なのです。
シンプルに登場回数が多い、見せ場が多いというのもキャラの人気を左右します。単純接触効果といい、人は接触回数が多いものに好意を抱きやすくなる傾向があります。
冨岡義勇は、第一話から登場して、那田蜘蛛山でもギリギリで駆けつけて炭治郎たちを助けるヒーローのような活躍をするなど、見せ場が他の柱よりも多いです。
こういった、見せ場の多さが単純接触効果を生み、冨読者からの好感度を高めていると考えられます。
1位:我妻善逸 17451票
生えある一位を獲得したのは、泣き虫の我妻善逸です。
我妻善逸の魅力は、ヘタレから生じるギャップと、応援したくなるような親しみやすさにあります。
我妻善逸は、鬼殺の隊士にもかかわらず、鬼に怯え、ピーピーと泣き喚く非常にヘタレな性格をしています。自分が助けるべき子供に対して泣きすがるほどでした。
我妻善逸が真価を発揮するまでは、あまりのヘタレっぷりに「こいつ大丈夫か?」と読者は思わず心配したことでしょう。
しかし、一度意識を失えば、神速の居合切りで鬼の頸を一刀両断するという、信じられないほどにかっこいい鬼殺の隊士に変貌を遂げます。
特に、アニメにおける鼓屋敷編で、初めて「霹靂一閃」を放ったシーンは、その作画と演出のクオリティの高さも相まって、非常に大きなインパクトを残しました。
また、鬼となった兄弟子である獪岳と相対した時は、気弱な善逸からは考えられないほどの、怒りと憎しみに満ちた姿を見せましたが、かつてないほどに本気の善逸は非常にかっこよかったです。
そして、自ら編み出した「雷ノ呼吸・漆の型・火雷の神」で、上弦の陸となった獪岳を一瞬にして倒したシーンもまたインパクトがありました。
こういった、ヘタレからのギャップこそが、善逸の真骨頂であり、魅力の根元と言えます。
また、善逸は鬼滅の主要キャラの中では、最も読者の感覚に近い普通の人間といえます。
主人公の炭治郎も人間臭い一面を持ち合わせていますが、どちらかといえば浮世離れした聖人君子のような性格の方が際立っています。
一方で、善逸は、嫌なものや嫌といい、怖いものは怖いと泣き叫びます。また、辛い訓練も、サボりたい時はサボってしまいます。
自分を律して、恐怖に立ち向かっていける炭治郎たちがある意味異常なのです。むしろ、善逸のような反応の方が一般的なのではないでしょうか。
善逸のイメージカラーである黄色は、親しみやすさを抱かせる心理効果があり、善逸の親しみやすさをアップさせています。
また、人間には、不利な状況、劣勢な状況にあるものを応援したくなるという心理があり、これをアンダードッグ効果といいます。
恐怖に怯えたり泣き喚く、明らかに劣勢になる善逸を、読者は知らず知らずの内に応援したくなっていると考えられます。
鬼滅の刃の人気ランキングまとめ
鬼滅の刃のキャラは、最初に悪い印象を与えておいたうえで、徐々に、プラスの印象を与えるような描写を描くという場合が多いです。
粗暴な伊之助や不死川、ヘタレで泣き虫な善逸、クールで無口な冨岡義勇や時透無一郎など、ネガティブな印象は様々あれど、最初の印象はあまりよくありませんでした。
そういったネガティブな印象を与えるという、下準備をしたおかげで、そのギャップになるような、姿がより一層印象的に映るのです。