僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)301話『火の不始末 前編』のネタバレ・考察やっていきます!
前回300話では、荼毘が死んだはずの息子・轟燈矢 (とどろきとうや)であることを知り、そしてそんなヴィランとなった息子を殺すことができない自分はヒーローとして死んだと完全に心が折れたエンデヴァー。
病室で涙を流して打ちひしがれるエンデヴァ―のもとに、焦凍、夏雄、冬美が訪れました。その後ろには、何と精神病院に入院していた妻・冷の姿がありました。
涙を流して心が折れていたエンデヴァーに対し、冷は荼毘となった息子・轟燈矢 (とどろきとうや)について語り始めました。
前回300話のネタバレは下記からご覧ください!

目次
ヒロアカ301話のネタバレ
エンデヴァ―ーと冷の出会い
家族になる前のこと・・・場面はエンデヴァーと冷の見合いの席。
『次期No1の呼び声高いエンデヴァー様からお声掛けいただけるとは夢にも思いませんでした』『僥倖の極みにございます!!』と嬉しそうに語るのは、冷の父親と思わしき人物。
さらに『氷叢(ひむら)もかつては名家と呼ばれた由緒ある家柄にございます故』『トップヒーロー様の伴侶としましては充分につり合いがとれるものと』と冗長に語る冷の父親。
冷の家は氷叢(ひむら)という姓で、かつては名家で今は落ちぶれてしまっていたようです。それゆえにエンデヴァーとの縁談はお家再興のためにも絶好の機会だったようです。
縁談の最中、冷は常にうつむき加減に暗い顔をしていました。
©堀越耕平・集英社
エンデヴーはそんな冷を「氷のような女だった」「”個性婚”である事も承知の上で・・・家のために妻になると言う」「強く、しかし触れれば溶けて消えてしまいそうな・・・」と当時の印象を振り返る。
縁談の際、エンデヴァーと庭園を散歩していた冷は、百合の花らしき花壇をじっと見つめていました。
エンデヴァーが『花が好きか』と問うと、冷は『はいとても綺麗』と返答しました。
©堀越耕平・集英社
このとき冷が見つめていた花は、300話でエンデヴァーの病室に入ってきた冷が、一輪手に持っていた花と同じものでした。
冷にとっては想い入れのある花なのでしょう。

現在のエンデヴァーの病室
『おまえ・・大丈夫・・・なのか』と問うエンデヴァーに対し、冷は『大丈夫じゃないよ』『だから来たの』とまっすぐ答えました。
©堀越耕平・集英社
ソファーに寝転ぶ荼毘
『だいぶ焼けたな・・・』『何も感じねぇ』と腕を見つめながら語る荼毘。
©堀越耕平・集英社
『早くみじめな面が見てぇ』『楽しみだここまで長かった』『轟炎司、お母さん、冬美ちゃん、夏くん・・・焦凍』『俺を見てくれ地獄の底で』と不敵な笑みを浮かべて呟く荼毘。
轟燈矢(とどろきとうや)の過去
荼毘がまだ轟燈矢(とどろきとうや)だったころ。
『せっかく休みなんだから”個性”訓練付き合ってよ!!なんで急にダメとか言うんだよ!』と駄々をこねる燈矢。
『何度も言ったろうお前のためだ』と諭すエンデヴァー。
燈矢は炎の個性因子を色濃く引き継いでいるものの、肉体は母親である冷を強く引き継いだことで、炎への耐性よりも氷結の寒さに適性のある体でした。
©堀越耕平・集英社
燈矢の体を診断した医師はエンデヴァーと冷に『まぁ・・・デザインじみた事はなね・・・』『この”個性”時代禁忌なんで・・・やめといた方が』と、半冷半燃の個性をもつ子ども作ろうとしていたエンデヴァーを諭すように語りました。
しかし、オールマイトに対する強い嫉妬心からエンデヴァーは止まることができませんでした。
冬美と話す燈矢
『ちょっと火傷するくらいなのにさ!全然がまんできるのにさ!』『俺の体のことは俺が一番よくわかってるんだ』と冬美に愚痴をこぼす燈矢。
『でも冬美も燈矢兄がボロボロなの心配、嫌』と冬美は答えました。
『冬美にはわかんねーよ!女の子にはわかねんだ!』『俺はもう「超えたい」って思ってるんだ!』『火をつけたのはお父さんだ!』と涙を浮かべながら、既にオールマイトを超えるという強い意志をもっていることを語る燈矢。
©堀越耕平・集英社
そんな燈矢の髪色は、だんだんと冷の個性の証である白い色の髪の毛の量が増えてきており、ますます炎に耐性のない体になってきているようでした。
燈矢について話す冷とエンヴァー
『それは・・あんまりだよ・・!残酷じゃない!』『あなたが子供に何を求めてるか燈矢はもう知ってる!』とエンデヴァーに訴える冷。
『どれだけ言っても・・・毎日新しい火傷を作ってくる・・・』『バカなところも俺に似た・・・!』『諦めさせるにはそれしかない・・』『燈矢には超えられない・・・』と悲痛の表情で語るエンデヴァー。
©堀越耕平・集英社
月日は流れて・・・
エンデヴァー家には、その後夏雄が生まれました。
子供が増え成長する中でも、エンデヴァーは決して超えることのできないオールマイトの背中を追いかけ、苦しみ、もがき続けていました。
©堀越耕平・集英社
そして待望の半冷半燃の個性をもった焦凍が生まれたのです。
待望の個性に喜びの表情をみせるエンデヴァーに対して、燈矢は絶望のような表情を見せました。
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焦凍が生まれる頃には、燈矢の髪は全体が白色になっており、さらに炎に対する耐性を失っているようでした。
そんな中でも燈矢は父親から託されたオールマイトを超えるという夢を捨てきれずにいました。
『お父さん』『俺も超えられるよ』『ほら・・・こんなに強い炎が出せるようになったんだ』『俺のこと見てよ』と涙を流しながら、一人個性の特訓をしていました。
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感情をぶつける燈矢
『ダメだ!』『なぜわからん!』『そこまでの火傷を負ってなぜわからないんだ!』と、個性の訓練で火傷を負った燈矢に訴えるエンデヴァー。
『燈矢・・・!!お前は・・・外を見ろ』『冬美や夏雄と遊べ!学校で友達を作れ!』『ヒーロー以外にも・・・沢山の世界がある・・わかるだろう!』『そうしていく内に忘れる』とヒーローは諦めるように語るエンデヴァー。
©堀越耕平・集英社
そんなエンデヴァーに対し燈矢は『学校の子は皆ヒーローになるってさ・・・!』『・・・わかるはずないだろ・・・!』『俺は父さんの子どもなんだから』と涙ながらに訴えました。
©堀越耕平・集英社
さらに『お父さんが火を着けたんだ・・・!消えないんだよ・・!』『なかったことになんて・・・できないんだよ!』『俺を見ろよ・・・!!』『エンデヴァー』『俺を見ろよ!!!』といって燈矢は、焦凍に襲いかかりました。
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場面は再び、現在のエンデヴァーの病室
冷は当時のことを想いだしながら『一番辛いのはあなたじゃないし』『あの子を見なかったのはあなただけじゃない』とエンデヴァーに語り掛け、301話終了です。
©堀越耕平・集英社
次回302話のネタバレは下記からご覧ください!

ヒロアカ301話の考察
燈矢はデクとは逆に強い個性を失っていったという悲劇
燈矢はもともと、エンデヴァーをも超える強い火力を誇り、オールマイトを超えるという父親の期待を一心に受けていました。
しかし、氷結の体質を受け継いでしまいそれが色濃く出ることで、炎への耐性が失われていき、炎の個性の使用で火傷を負うという致命的な欠陥を抱えてしまいました。
そうして、燈矢は父親から背負わされ、自分自身としても望んだ、オールマイトを超えるヒーローになるという夢を諦めざるを負えない状況に追い込まれました。
人間は、何かを得る喜びよりも、喪失による心的ショックの方が大きいのです。
ある意味、最初から個性のなかったデクよりも、燈矢の境遇は辛いものだったといえます。
そんな燈矢をさらに追い込んだのは、恵まれた才能をもって生まれた弟・焦凍の存在です。
かつて自分に向けられていた期待や夢は、すべて焦凍に向けられるようになり、自分は見向きもさくなる兄という立場は想像するだけでも辛いですよね。
夏雄や冬美は最初から強い個性をもっていなかったので、喪失の苦しみはありませんでしたが、一度はその期待や夢を背負ってしまった燈矢だからこそ、その状況は耐え難いほどに辛いものなのでしょう。
冷が『一番辛いのはあなたじゃない』と語ったのは、一番辛いのは燈矢だと言いたいのだと思われます。
燈矢を追い詰めたのは優秀な弟に対するカインコンプレックス
兄弟に対する嫉妬心・憎悪の感情が、人格形成や人間関係において悪影響を与えることを心理学では『カインコンプレックス』といいます。
他人・友人とは異なり、最も身近な存在であり、同じ血を分けた兄弟だからこそ、その能力や愛情の差を見せつけられることで劣等感を抱きやすくなるのです。(親が露骨に比較することで、カインコンプレックスは助長されます。)
燈矢も他人ではなく、まさに同じ血を分けた弟であるからこそ、焦凍に強い嫉妬心を持ったのです。最後のシーンで焦凍に襲いかかったのは、自分を見ようとしない父への憎しみでもあり、弟への嫉妬心でもあります。
そんな状況も、オールマイトを超えるため、強い個性をもつ子ども作ることに固執したエンデヴァーが作り出したものです。
ある意味、オールマイトを超えるため、個性婚で家族となった轟家において、その轟家の悲願をエンデヴァーから背負わされ、自らもそれを望んでしまったからこそ、自分が失ったかつての立場を奪った、完璧な才能をもつ弟の焦凍が余計に妬ましく思えてしまうのです。
鬼滅の刃の黒死牟 (こくしぼう)と縁壱、北斗の拳のラオウとケンシロウなど、弟に嫉妬して闇堕ちした兄貴キャラクターは数知れず、荼毘となった燈矢も同様に弟に対する嫉妬の炎で自らの身を焦がしたのです。