鬼滅の刃の風柱・不死川実弥生が、いかにカッコいいか、そのカッコいい魅力の正体を心理学の知見を交えつつ解説していきたいと思います!
誰よりも鬼を憎み、誰よりも鬼殺への執念を見せる風柱・不死川実弥(しなずがわさねみ)。
柱合会議で初登場した際は、鬼となった妹の禰豆子 (ねずこ)を連れる炭治郎に強い敵意を見せました。
その荒々しい性格と、傷だらけの風貌からは、非常に近寄りがたい雰囲気が漂っています。
そんな不死川実弥(しなずがわさねみ)も、作品が進むにつれて徐々に、内面に秘めた優しい心や、意外な趣味などが露わになっていくことで、多くの不死川ファンを獲得していきました。
目次
風柱・不死川実弥(しなずがわさねみ)とは
荒々しい戦いっぷりがカッコいい風の呼吸
引用:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
不死川実弥(しなずがわさねみ)は鬼殺隊の最上級剣士『柱』の一人で、風の呼吸を操る『風柱』です。
風の呼吸は、強い風を巻き起こし、鎌鼬のように鬼を切り刻む非常に攻撃能力の高い呼吸です。
また、不死川は、鬼を酩酊させる非常に珍しい血液『稀血』の持ち主。上弦の壱・黒死牟 (こくしぼう)を相手にして大量出血した際は、不死川の血で黒死牟が泥酔したかのようの症状に陥っていました。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
不死川は、元々鬼殺隊に入る前は、日輪刀や呼吸を使用せず、稀血と素の戦闘能力のみで、鬼を捕縛して日光に当てて殺害するという常識外れの戦い方で鬼を殺していました。
その野良での鬼狩りをしている最中に、不死川の育手にあたる粂野匡近と出会い、鬼殺隊に入ることになるのです。
それゆえに、柱でありながら全身傷だらけなのです。
鬼になった母親を自ら殺害してしまった悲しい過去
不死川は、柱の中でも特に、鬼に対する憎しみや嫌悪感を露わにしています。
その発端には、鬼になった母親に兄弟を殺害され、その母親を自分自身で殺害したという過去があります。
不死川は、7人兄弟の長男(弟の一人は炭治郎の同期である不死川玄弥(げんや))でしたが、玄弥以外を残して鬼になってしまった母親に殺害されてしまいます。
鬼が母親とはわからずに、無我夢中で戦った不死川は、夜が明け始めて、自分が戦った相手が母親だったことを悟ります。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
返り血を浴びて立ち尽くす不死川と、その足元で血を流して倒れ伏す母親の姿を見た玄弥は、動揺して、不死川を「人殺し」と罵倒してしまいます。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
この一件以来、不死川兄弟の間には大きな溝が生まれてしまいます。
不死川は弟の玄弥のことを『テメェみたいな愚図 俺の弟じゃねぇよ 鬼殺隊なんてやめちまえ』などと突き放すような態度ばかりを取ります。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
一方で、玄弥はかつて必死に自分たちを守った兄に対して「人殺し」と暴言を吐いたことを詫びて、兄に認められる存在になりたいと強く思うようになります。
できる限り早く、強くなって兄に認められたかった玄弥は、鬼を喰らって鬼の力を得るという外法に手を染めるようになるのです・・・
こういった辛い過去もあり、不死川は、『鬼憎し』の気持ちが格段に強くなったのです。
不死川の弟・玄弥は最初は暴力的で嫌な奴という印象でしたが、物語が進む中で、兄貴想いのかわいい弟の姿が垣間見えてきました。そんな玄弥の魅力を下記で分析しているので併せてご覧ください!

炭治郎との険悪な関係
引用:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
不死川は上述の経緯もあって、鬼に対する並々ならぬ敵意と警戒心を持っています。
それゆえに柱合会議で、鬼である禰󠄀豆子(ねずこ)を連れた炭治郎の処遇については、頑なに断罪を進言していました。
その固執っぷりは凄まじく、敬愛する産屋敷耀哉 (うぶやしきかがや)が炭治郎たちを認めて欲しいとお願いしても、冨岡義勇と鱗滝左近次 (うろこだきさこんじ)が命を懸けて保証するという手紙を読み聞かされても、耳を貸そうとしませんでした。
終いには、自ら腕を切って稀血を禰󠄀豆子(ねずこ)の前にさしだして、鬼の本性をさらけ出すように仕向けますが、忍耐強く我慢した禰󠄀豆子(ねずこ)によって不死川の思惑は外れることとなりました。

ちなみに柱合会議の開始前、いきなり登場するや禰󠄀豆子(ねずこ)を日輪刀で突きさすという鬼畜っぷりを見せつけます。それに切れた炭治郎が、不死川に頭突きを喰らわせて『善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないのなら柱なんてやめてしまえ!』というグサッとくる一言を浴びせます・・・
引用:(C)吾峠呼世晴/集英社
鬼になった母親を殺してしまった不死川にとっては、受け入れがたい言葉でしょう・・・良い鬼の存在を認めることは、そうなり得たかもしれない母親の可能性を潰したという事実を否応なしにもつけつけられることとなり、母親を殺したことに対する強い罪悪感が芽生えることとなります。
この一件以降、炭治郎との仲は険悪になってしまいます。

不死川実弥(しなずがわさねみ)のカッコいい魅力を心理学で解説!
不死川実弥のカッコいい魅力の正体について、心理学の血面を交えつつ解説していきたいと思います!
ブレナイ執念と信念がカッコいい
引用:©吾峠呼世晴/集英社
不死川は、どんな劣勢にあっても決して弱みを見せたり、弱音を吐いたりせず、その強気で、荒々しい態度は崩れません。
そんな決してぶれることのない不屈の闘志や執念が非常にカッコいいです。
例えば、柱屈指の天才剣士である霞柱・時透無一郎 (ときとうむいちろう)を圧倒した、十二鬼月最強の鬼・黒死牟 (こくしぼう)を相手にして、内臓が飛び出そうなほどの深手も負わされても一歩も引くことはありません。

その強気で荒々しい態度は一切変わらず、自分自身がどれだけボロボロになろうとも一歩も引かずに、鬼に向かっていく姿は、実力関係なく、ある意味どの『柱』よりも頼もしくカッコいいです。
こういった執念深さの根底にあるのは、上述した鬼に家族を奪われた過去であり、そこから発生する『鬼が憎い』という気持ちです。この過去の経験からくる強い感情と、生来の粗暴で血気盛んな性格が合わさって、凄まじい執念と気迫が生まれるのです。
人間には『一貫性の原理』というものがあり、どんな時でもブレナイ一貫性のある人間はより魅力的に見えるということが心理学的にわかっています。
炎柱・煉獄さんも『弱きものを守る』という母親との約束を責務として、死の間際まで、この責務に準じる一貫した行動を見せたからこそ、そのブレナイ生き様に多くの読者が魅了されたのです。
不死川も同様で、その『鬼憎し』の感情や、どんな状況でも揺らがない荒々しく強気な態度という一貫性が、不死川がカッコいい理由の一つです。
どんな時も堂々した立ち振る舞いがカッコいい
引用:©吾峠呼世晴/集英社
上述のぶれない執念と信念と近い点ですが、不死川の常に堂々として自身に満ちた姿は非常にカッコいいです。
上弦の壱を相手にしても決して臆することなく、弱気な態度を見せることはありません。どんな危険な敵であろうと勇猛果敢に立ち向かっていきます。
こういった堂々とした自信に満ちた立ち振る舞いは、人を魅了することが分かっています。
ダラム大学の研究で、他人の意見に流されたりしない動じないで物事を堂々と言えたり、リスクも取れるというような性格が女性に最も魅力的に映る性格であるというデータが出ているそうです。(外向性が高く、神経症的傾向が低い性格)
不死川実弥の、物怖じしない堂々とした態度は女性を魅了するカッコいいポイントなのです。
不器用だが弟想いの兄貴の姿がカッコいい
上述した通り、母親が鬼化した一件から、不死川兄弟は険悪な状態になったように思えました。
不死川は弟・玄弥に対して、下記のような発言をしており、明らかに嫌っているような印象がありました。
しかし、こういった冷たい態度の真相が、上弦の壱・黒死牟 (こくしぼう)戦で明らかになりました。
不死川の玄弥に対する冷たい態度は、すべて鬼殺隊なんて危険な仕事は辞めて、平凡でも幸せな家庭を築いて欲しかったからなのです。だからこそ、玄弥を頑なに突き放して、鬼殺隊を辞めるように冷たい態度を取ったのです。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
テメェはどっかで所帯持って、家族増やして爺になるまで生きてりゃ良かったんだよ。
お前が、お前の女房や子供を幸せにすりゃあ良かっただろうが
そこには絶対に俺が鬼なんか来させねぇから・・・
引用:©吾峠呼世晴/集英社
炭治郎は、相手の感情を読み解く特殊な嗅覚を持っており、不死川が玄弥に対して冷たくあってはいても「憎しみの感情」は持っていないということを理解しており、そのことを玄弥に告げて、叱咤激励をしていました。
不死川が不器用にも表現することができず、冷たい態度の裏に隠していた、玄弥に対する強い愛情は、玄弥の死の間際に溢れ出ます。
上弦の壱・黒死牟との死闘の中で、鬼化による再生能力も追いつかなくなり、塵あくたとなっていく玄弥。目の前で死にゆく弟を腕に抱えて、不死川は下記のように泣き叫びました。
『迷惑なんかひとつもかけてねぇ!!死ぬな!!俺より先に死ぬんじゃねぇ!!』
引用:©吾峠呼世晴/集英社
『頼む神様 どうかどうか 弟を連れて行かないでくれお願いだ!!』
引用:©吾峠呼世晴/集英社
涙を流して消えゆく弟を抱きかかえ、神にまですがる不死川。そこには、不器用だが真っすぐに弟のことを想う兄の姿がありました。
もともと、不死川はその凶悪な人相・粗暴な性格、玄弥に対する冷たい態度から、印象は決して良いものはありませんでした。
不死川は元々の印象が悪かっただけに、その対比で、より一層優しい兄貴としての印象が強く見えるのです。
これは心理学でいうゲインロス効果といい、最初に与えた印象に対して、その正反対の印象を与えると、よりポジティブ(もしくはネガティブ)な方向に強く印象が振れる心理効果をいいます。
元々の印象がマイナスであるほど、プラスの印象を与えるシーンが、より鮮烈に印象に残るのです。
不死川は、初登場した柱合会議における炭治郎や禰豆子に対する態度や、玄弥に対するきつい態度から、読者の印象は非常にネガティブな方向に振れていたと思います。
そんなネガティブな状態から、弟想いの優しい兄貴の姿というポジティブな印象が加わることで、より強くポジティブな印象を強く与えるのです。最初に善逸をボコボコした伊之助も同様のパターンで、人気を獲得しました。

こういった実は優しい兄貴というギャップこそが不死川のカッコいいところなのです。
荒々しさの中にある、礼節と忠義を守る姿カッコいい
引用:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
不死川は、荒々しく粗暴な性格をしていますが、自分自身が認めた存在に関しては、礼儀正しく振る舞い、忠節を重んじる態度を見せます。
柱合会議で初登場した際は、いきなり登場するやいなや禰豆子(ねずこ)を刀でぶっ刺して、汚い言葉で罵るなど、かなり乱暴で粗暴な人間にうつりました。
しかし、敬愛するお館様・産屋敷耀哉が現れたと思いきや、一瞬にして跪いて、畏まった言葉で挨拶を交わすなど、先ほどまでの粗暴な人間とは同一人物とは思えないほどの、理性的かつ知的な一面をみせました。
こういった不死川のただ、粗暴で性格の悪い奴だけではないというのも不死川がカッコいい理由の一つです。
初登場時の第一印象が最悪だっただけに、その後の礼儀正しい姿は、不死川の印象を大きくプラスに転じる効果がありました。これも上記と同様に、ゲインロス効果によるものです。
また現代社会の人間は、『知的さ』というのはモテの重要な要素ということが心理学でもわかっており、不死川の粗暴さの中に現れる知的な一面も、ファンの心をつかむ要素の一つになります。
意外と可愛い趣味をしている
不死川は、作中で『おはぎ』が好物であることが判明しています。
柱稽古で不死川邸を訪れた炭治郎は、家中からおはぎの匂いを感じ取っていました。
炭治郎は、稽古の一貫で打ち合いをしていた、冨岡義勇と不死川を見かけて、何を思ったのか、『おはぎの取り合いですか!?』といって止めに入るというど天然ぶりを見せました。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
さらに、炭治郎の兄弟子で、同じく天然な冨岡義勇が『今度懐におはぎを忍ばせておいて、不死川にあげよう』という天然発言をしました。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
この一連の流れから、不死川は完全に『おはぎキャラクター』としてのポジションを確立してしまったのです。
あの外観からは想像もつかないスイーツ男子という意外性は、不死川に対して可愛さ・親しみやすさという好印象を与えるのです。
こちらも悪人面で粗暴な不死川さんだからこそ、より不死川さんが愛すべきキャラクターになる要素の一つです。
最後に禰豆子を優しく撫でた姿がカッコいい
引用:©吾峠呼世晴/集英社
鬼舞辻無残との戦いを終えた後、人間に戻った禰豆子とばったり鉢合わせしました。
天真爛漫に不死川に語り掛ける禰豆子に対して、今は亡き弟の玄弥の姿を重ね合わせた実弥。
柱会議の際に見せた狂気に満ちた表情とは異なる、慈愛に満ちた愛おしそうな表情で、禰豆子を見つめて、優しく頭を撫でました。
そんな優しく頭を撫でる兄貴の姿が、非常にカッコいいと同時に切なくもなる印象的なシーンでした。
引用:©吾峠呼世晴/集英社
こういった形で、数は少ないものの要所で今までのイメージを覆すような、優しい姿を見せてファンのハートを鷲掴みにしてくるのが不死川なのです。
これも最初の印象を最悪なくらいに悪くしておいたおかげなのです・・・!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
不死川は最初の印象をかなり悪くしておいて、物語が進む中で、少しづつポジティブな印象を見せていくことで、憎めないカッコいいキャラクターに仕上がっているのです。
また、実はスイーツ男子というカワイイところも見逃せない魅力です・・!