今回は鬼滅の刃でも隠れた人気キャラクター、MAD動画の素材の利用頻度でいえばおそらく上位に食い込む。われらがサイコロステーキ先輩がなぜここまでの人気なのか、その理由を心理学的に考察してみたいと思います!
目次
ザ・かませ!サイコロステーキ先輩とは?
40秒弱で作品から退場した名無しキャラ
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
サイコロステーキ先輩が初登場したのは、那田蜘蛛山 (なたぐもやま)編。
炭治郎が十二鬼月の累と対峙した際に、累の背後の茂みから突如として表れ『お、丁度いいくらいの鬼がいるじゃねぇか。こんなガキの鬼なら俺でも殺れるぜ』と自信満々のセリフを吐きながら登場。
さらに『お前はひっこんでろ、俺は安全に出世したいんだよ。出世すりゃあ上から支給される金も多くなるからな 隊は殆ど全滅状態だが、とりあえず俺はそこそこの鬼一匹を倒して下山するぜ』と一人語りをはじめ、自らのクズっぷりを露呈。
『だめだ!よせ!』という炭治郎も助言も聞かず、累に斬りかかり、一瞬にして累の糸にバラバラにされて退場しました。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
その際、サイコロステーキのように四角くバラバラにされたために、サイコロステーキ先輩というあだ名をつけられ、「鬼滅の刃」声優陣によるラジオ放送でも「サイコロステーキ先輩」と呼ばれたことで、その名が一気に広まりました。
鬼滅の刃では、ワキ役だとしても「キメツ学園」や公式のファンブックで、キャラの名前が明かされたりします。(同じく那田蜘蛛山で糸によって操られていたモブ隊士・尾崎などは、名前が明かされている)
しかし、サイコロステーキ先輩に関しては未だ不明の状態。しかし、それ以上に『柱』クラスの知名度を誇る「サイコロステーキ先輩」というあだ名を世間からいただけたので、むしろ名無しで良かったのかもしれません。
実は強いのか?呼吸や階級は?
©吾峠呼世晴/集英社
サイコロステーキ先輩の強さについてですが、相手が十二鬼月の累だから瞬殺されてしまいましたが、実際のところは最終選別を突破して隊士になっており、また多くの死傷を出している那田蜘蛛山で、無傷かつ、着ている隊服にもほとんど汚れがないことから、なかなかの手練れだったのかもしれません・・・笑
階級に関しては、当時の炭治郎が一番下の『癸(みずのと)』でした。サイコロステーキ先輩は、累に瞬殺されている点からも、おそらく『癸(みずのと)』よりも1~3個上、『壬(みずのえ)』『辛(かのと)』『庚(かのえ)』程度と推察されます。
しかし、『出世すりゃあ上から支給される金も多くなるからな』と出世に関して並々ならぬ執念をみせいていたサイコロステーキ先輩は、卑怯な手段を使って階級だけはより上位にいたのかもしれません。
呼吸については、刀色が白っぽいから『霞の呼吸』か『岩の呼吸』かなんて考察もありますが、刀身がはっきりと映っておらず、また累に斬りかかった際も、一切呼吸を使う素振りもみせなかったので、呼吸を扱えない可能性もあります。
©吾峠呼世晴/集英社
サイコロステーキ先輩がなぜ鬼殺隊に入ったのか?
多くの謎に包まれているサイコロステーキ先輩ですが、なぜ命の危険の大きい鬼殺隊に入ったのでしょうか。
「妹の禰豆子を人間に戻したい」という炭治郎のように明確な願いがあるのか、胡蝶カナエ・しのぶのように鬼に両親を殺されたことで『同じような思いを他の人にはさせない』という強い思いがあるのか。




『俺は安全に出世したいんだよ。出世すりゃあ上から支給される金も多くなるからな』この発言からも、サイコロステーキ先輩はお金第一で鬼殺隊に入ったと考えられます。
鬼滅の刃の舞台は大正時代であり、当時は日露戦争後で日本全体が不況であったということも多少なりとも影響していると考えられます。
『柱』まで上り詰めれば、20代そこそこでも自らの屋敷を構えられるほどのお金が入るわけです。サイコロステーキ先輩は、おそらく鬼殺隊に入って一攫千金を夢見ていたのでしょう。
自分が強くなること、鬼から人を助けることよりも、お金が第一なのがサイコロステーキ先輩なのです。だらこそできる限り戦闘を避けて、安全に出世しようと考えたのです。
非常に人間らしいともいえます・・・しかし、戦闘を避け続けて出世したとしても、いずれ階級と自分の実力が釣り合わなくなり、難しく危険な任務に派遣されて殺されるのは目に見えてますね・・・
Twitterのトレンドにのる爆発的な人気っぷり
©吾峠呼世晴/集英社
サイコロステーキ先輩ですが、第二回公式人気キャラクター投票では堂々の第35位にランクインしています。
数多くの人気キャラクターが登場する鬼滅の刃で、わずか40秒弱の登場で、35位にランクインするのは快挙といえます。
35位という順位は、37位の鱗滝左近次 (うろこだきさこんじ)、39位の真菰(まこも)よりも順位が上なのです・・!二人ともアニメでの登場シーンはサイコロステーキ先輩よりも圧倒的に長いにも関わらずです・・・
サイコロステーキ先輩がその登場時間に反していかに人気かがよくわかると思います。
また2020年10月17日鬼滅の刃が地上波で放送された際には、Twitterのトレンド1位にランクインするという快挙を達成しました。
わずか40秒弱しか登場しない名無しのキャラクターがTwitterのトレンド1位を獲得するなんてことは史上初の快挙といえ、サイコロステーキ先輩が唯一無二の人気キャラクターであることを証明した瞬間でした。
サイコロステーキ先輩が人気の理由を心理学で考察してみる
モブキャラとしては異常なほどの人気を獲得しているサイコロステーキ先輩ですが、どうして人々はサイコロステーキ先輩に惹かれてしまうのか、次からはその点について解説していきます。
インパクトを残すグロイ死にざま
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
サイコロステーキ先輩人気の大きな要因が、サイコロステーキの由来にもなったそのグロイ死にざまでしょう。
一瞬にしてバラバラにされたために、表情がそのままの不敵な笑みのまま切り裂かれて、断末魔の叫び声も上げずに、無音でバラバラと砕け散りました。
アニメではその肉片がボトボトと落ちる音が生々しく、小さい子供にも人気な鬼滅の刃としてはかなりギリギリの描写だったといえます。
実はホラーなど、こういったグロく暴力的な描写を見ると、ストレス解消の効果があることがわかっています。だから人は暴力的な描写に妙に惹かれてしまうのです。
また、心理臨床家の米倉一哉氏によると、TVなどの規制が強くなりグロイ描写が消えた”潔癖社会“の現代においては、より”グロイ描写”が人を惹きつけるようになるとしています。
少年誌であるジャンプで、鬼滅の刃、チェンソーマン、呪術廻戦など、ダークでグロイ描写の多い漫画が近年人気なのは、こういった点が影響しているとも考えられます。
サイコロステーキ先輩の、気持ち悪い効果音のついたグロイ死にざまは、こういった無意識のうちにグロ描写を求めてしまう人間心理に刺さっているといえます。
特に不景気やコロナでストレスが高まる昨今の社会においては、よりこういったグロ描写は人を惹きつけると考えられます。
唐突に表れて唐突に消えることで多くの謎を残す
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
上述の通りサイコロステーキ先輩は、名前をはじめとしてその正体の多くが謎に包まれています。
那田蜘蛛山では茂みの裏から唐突に現れて、唐突に自分語りを始める奇怪な行動。名前を名乗る間もなく瞬殺されて、名前は何で、階級は何で、呼吸は何を使うのか、なぜ鬼殺隊にいるのかもわからない。
考えれば考えるほど、意味がわからないシュールなキャラクターでした。そんなサイコロステーキ先輩はその設定などに、多くの考察の余地を残し、読者に議論の場を与えています。
人間には、こういった謎が多くの残るものにより興味を惹かれるという心理があり、これを心理学では『ツァイガルニック効果』などと呼びます。
人間がミステリーや都市伝説名などを好むのにはこういった『真相がわからない謎が残るのもにより興味を惹かれる』という心理があるためです。
栗花落カナヲや胡蝶しのぶなど、ミステリアスな雰囲気をもつクール系ヒロインが人気なのも、こういった心理が影響しています。



サイコロステーキ先輩はどんなやつなんだと、様々に考察を巡らせるうちに、サイコロステーキ先輩への興味がどんどん強まっていってしまうのです。
清々しいクズっぷりからの死亡でカタルシスの解放
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
「心の中に溜まっていた言葉にならないもやもやとした感情が、何らかのきっかけで吐き出され、解放されて、それによって気分がスッキリする」ことをカタルシスの解放などといいます。
憎しみを集めまくった悪役が、ヒーローの手によって撃破された際には、どこかすっきりとした開放感のある感覚を覚えると思います。この開放感をカタルシスの解放などと呼びます。
引用:@尾田栄一郎/集英社
サイコロステーキ先輩もいきなり登場したかと思えば、『こんなやつ俺でも倒せる』『楽して出世したい』『さっさと一人で下山させてもらうぜ』などとある意味悪役以上に、同情の余地のないほどのクズっぷりを見せつけました。
そんなサイコロステーキ先輩に対して、『なんだこのウザいやつは?』『むかつく』『さっさと死ね』などと、”もやもや”とした感情が心の中に溜まっていたと思われます。
その場に居合わせた炭治郎が、真面目で優しい聖人のような良すぎる性格をしているために、その対比でより一層、サイコロステーキ先輩のクズっぷりが際立っていました。
そんな一瞬にして読者からの”ヘイト”を集めたサイコロステーキ先輩が、かなり惨めに瞬殺されることで、先ほどの”もやもや”とした感情が解放されて、スッキリとするのです。
ある意味、これはサイコロステーキ先輩が徹底してクズに徹していたからこその開放感であり、これが同情の余地のある善人キャラクターであれば、すっきりとした感情は持ちえないでしょう。
サイコロステーキ先輩がクズに徹してくれたからこそ、サイコロステーキ先輩がバラバラに消し飛ぶシーンがスッキリする何度も見たくなる面白シーンになったといえます。
大量のマッドで登場して親近感が増す
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
ネットで話題になったサイコロステーキ先輩。そのシュールな死にざまを素材にした大量のMAD動画が生産されて、Youtubeをはじめとした動画プラットフォームにアップされました。
サイコロステーキ先輩のMAD動画は、100万回再生以上も視聴されている動画もあり、ほ10万再生以上の動画もボコボコ生産されています。
これによりサイコロステーキ先輩を目にする機会は圧倒的に増えたと考えられます。
人間は繰り返し何度もある対象と接触したり、目撃したりすると、その対象に対する好意や親近感が増すということがわかっています。
これを心理学では、単純接触効果、ザイオンス効果などと呼びます。
例えば、芸能人をCMで何度も見かけているうちに妙に親近感を覚えたり、Youtuberも、繰り返し見ているうちに何となく好きになってしまったという人も多いのではないでしょうか。これもザイオンス効果の影響です。
みなさんも最初は何とも思っていなかったサイコロステーキ先輩を、Youtubeやtwitterなど様々な場面で見かけるようになったことで、サイコロステーキ先輩への興味が強まり、いつのまにかサイコロステーキ先輩の虜になってしまっているのです・・!
まとめ
サイコロステーキ先輩は、そのグロテスクな死にざま、徹底したクズな役作り、謎しか残さないキャラクター設定、そしてファンたちのMAD大量生産というサポートもあり、多くの人を惹きつける最強のモブキャラクターとなったのです。
ちなみに。サイコロステーキ先輩のCVは、坂泰斗さんが担当しています。ワンパンマンでは、努力家で油断のないヒーロー『メガネ』を演じており、サイコロステーキ先輩とのギャップで話題になったそうです・・・!