鬼滅の刃のオープニング主題歌である、LiSAの紅蓮華。
過酷な運命に立ち向かっていく主人公の炭治郎の心情とリンクした歌詞や、力強いサウンドが非常に魅力的で、2019年の紅白歌合戦でも披露された人気曲です。
個人的にも紅蓮華は非常に好きな楽曲でヘビロテしております!
特に歌詞が好で、じっくりと聞いていたら、心理学的にも正しいなと思うフレーズがいくつかありまして、今回は紅蓮華の歌詞を心理学的に考察していきたいと思います!
また、紅蓮華には仏教的なテーマもモチーフとして使われているのでその点についても考察していきます!
この記事を読めば、もっと深く、紅蓮華という楽曲のもつテーマ性や詩の意味を味わうことができ、また紅蓮華の歌詞から科学的に証明された人生訓を学ぶことができます!
紅蓮華のテーマにもなっている、主人公の炭治郎については下記で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。めちゃくちゃ性格の良い炭治郎は心理学的に見てもパーフェクト?

目次
鬼滅の刃OP!紅蓮華とは?
紅蓮華はLiSAの15枚目のシングルで、2019年7月3日リリースされました。
作詞はLiSA本人が担当し、作曲は草野 華余子さんが担当しています。
LiSAは2010年に放映されたアニメ『Angel Beats!』の劇中バンドの「Girls Dead Monster(ガルデモ)」2代目ボーカル・ユイの歌唱役として人気を博し、ソロとしては、2011年にメジャーデビューをしています。
紅蓮華は週刊初年ジャンプで連載されている人気漫画『鬼滅の刃』のオープニングに起用され、作品のヒットに伴い、紅蓮華にも多くの注目が集まり、ネット上でも「歌ってみた」「弾いてみた」など楽曲をコピーする人が続出、大変な人気を博します。そしてLiSA自身初となる2019年の紅白歌合戦に出場を果たすことになります。
LiSA自身が紅蓮華に込めた思いとは?
考察を交える前に、LiSA本人が紅蓮華の歌詞に込めた思いを見ていきます。
大切なもを守るために戦う、炭治郎に重ね合わせる
LiSAが紅蓮華の配信開始を知らせる2019年4月22日のブログにて、紅蓮華に込めた思いを端的に語っています。
負ける意味。
それでも強くなれる理由。
LiSAを9年続けてきた私の生き方。
続けてきたからこそ
守りたいものができてしまった
鬼滅の刃を読みながら
悲劇の中、守りたい大切なもののために
立ち向かっていく炭治郎と重ね合わせながら
できた楽曲です。
引用:鬼滅の刃OP LiSA 紅蓮華 フル配信開始!!
LiSAとしてのデビューが2011年。そこから約9年間の経験を経て、守るべき大切なものができたLiSA自身の歌であり、同時に、作中で大切な家族を鬼に殺され、鬼になってしまった妹の禰豆子を救うために戦う炭治郎と、自身自身を重ね合わせて作られた曲なのです。
#鬼滅の刃
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— ufotable (@ufotable) October 6, 2019
守りたいものがあることの苦しみが込められている
上述のブログの表現の中で、「守りたいものが”できてしまった“」と表現している点は特筆すべき点です。単純に守るべきものあることを礼賛するのではなく、大切なものを持つことの大変さも込められているのです。
“紅蓮華”は「守りたいものがあるから攻めていく」っていう以前のわたしのスタンスではなくて、守りたいものができてしまったことによる嬉しさ、つらさみたいなものも組み込んである曲なんですね。
9年間の活動の中で応援してくれるファンや関係者など、自分自身だけじゃなく、より多くの人の想いを背負い「LiSA」という存在を体現し続ける大変さや苦しさも込められているのです。
同じインタビューの中で、LiSA自身、ファンのために、ファンがいるからこそLiSAであり続けられるとしています。それは、まさに妹のために過酷な運命に立ち向かう炭治郎と重なる部分です。
二人の共通点は、大切なもののために戦っているということです。
#鬼滅の刃
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- 大切な守りたいもののために戦う炭治郎と自分を重ねる
- 9年間LiSAを続けてきた経験の中で得た、大切なものができる喜びと辛さも込められている
- LiSAがLiSAを続けられているのは大切なファンがいてこそであり、そこが大切な妹のために強くなろうとする炭治郎と共通している
紅蓮華を仏教の観点から考察する
紅蓮華に込められたLiSAの思いは上述の通りですが、紅蓮華という楽曲の世界観を決定づけているのは、仏教の八寒地獄のひとつ「紅蓮地獄」をモチーフにして表現されている点です。
紅蓮華の世界観を理解するうえで重要な点なので、以下で説明していきます!
皮膚が千切れるほど寒い!八寒地獄とは?
紅蓮華のモチーフとなっている八寒地獄とは、極寒地獄ともいうことができ、あまりの寒さに皮膚が裂けて流血を起こし、そのさまが紅の蓮の花に見えるということで、紅蓮地獄ともいいます。
寒さで皮膚が裂けるなんて想像したくもありませんね・・・
紅蓮華の歌詞のコアにあるのは下記のフレーズです。
『世界に打ちのめされて負ける意味を知った』
引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
過酷や運命や厳しい現実に打ちのめされる痛みを、地獄の痛みに例えているといえます。ただ、紅蓮華における上述の歌詞には、より前向きな意味合が込められています。
つまり、敗北を知り、痛みをしったからこそ、強くなれる理由を知ることができ、それを力に変えて前に向かって進むことができるということです。
この強くなれる理由こそが地獄の痛みの中で得たものであり、今の自分を前に推し進めている力の源にあたるものです。
上述した通り、LiSAにとってはそれはファンの存在であり、炭治郎にとっては妹の禰豆子の存在です。
炭治郎にとっては、最愛の母親や兄弟を殺され、妹の禰豆子も鬼になるというのは、地獄といっても過言ではない状況です。そんな状況でも、炭治郎が前に進めるのは妹の禰豆子を助けたいという思いただ一つです。
紅蓮華には救済の意味も
仏教経典の「摩訶般若波羅蜜経」には、「白蓮華(びょくれんげ)・紅蓮華(ぐれんげ)・青蓮華(しょうれんげ)・黄蓮華(おうれんげ)」の4種類が記述されており、その中で仏教で特に重要しされているのが、煩悩に穢されることのない清浄な仏の心をあらわす「白蓮華」と、仏の大悲(だいひ)から生じる救済の働きを意味する「紅蓮華」だそうです。
参考:「蓮華(れんげ)」の種類と特徴を解説!花色で違う仏教的な意味とは?
救済というと、先ほどの皮膚が裂けるほど寒い紅蓮地獄とは、対極のようですね・・・
この救済は、妹の禰豆子だけがかろうじて生き残り、まだギリギリで人間性を保つことができているという、炭治郎にとって地獄のような状況にあって唯一の救いを残してくれたという意味としてもとることができます。
#鬼滅の刃
第26話「新たなる任務」
改め―竈門炭治郎 立志編―
竈門炭治郎の物語として、お伝え致しました。楽しんでいただけましたら幸いです。
ありがとうございました。 pic.twitter.com/oCkPFRUb6U— ufotable (@ufotable) September 28, 2019
そして、救済として残された妹の禰豆子は、炭治郎にとっての強くなれる理由となるのです。
- 紅蓮華のモチーフになっている、仏教の八寒地獄ともいわれる紅蓮地獄
- 八寒地獄は、皮膚が裂けて流血するほどの寒さで、その流血が紅い蓮の花に似ていることから紅蓮地獄ともいう
- 炭治郎の過酷すぎる運命を、この紅蓮地獄の痛みに例えている
- 紅蓮華には仏教的で「慈悲による救済」という意味もあり、地獄のような状況で炭治郎にとって「強くなれる理由」ともいえる禰豆子が生き残り、炭治郎にとっては救済ともいえる
紅蓮華を心理学的に見ることで得られる強く生きるヒント!
紅蓮華の歌詞を心理学的に考察していきます!
紅蓮華の歌詞の中から「心理学的にも確かに!」と思えるフレーズをピックアップして、人生に生かせる教訓を解説をしていきます!
自分がコントロールできることに集中する
紅蓮華の歌詞の一節です。
『変わっていけるのは自分自身だけ それだけさ』
引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
上述の歌詞は、“自分が変えられるものは自分自身だけ”という意味に捉えることができます。
この歌詞の前の
『夜の匂いに空睨んでも』
引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
という歌詞がありますが、これは鬼滅の刃において、夜は鬼が現れる時間であり、「空を睨む」とは夜に変わっていく空を憂う炭治郎の心情が表れていといえます。
しかし、空を睨んでも夜は変わりません、時間を止めることができません。それならば、変えられるのは鬼に負けないよう、妹の禰豆子を守れるように、自分自身が強くなることです。
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勇気の心理学者として有名なアルフレッド・アドラーの心理学を解説したベストセラー『嫌われる勇気』にて、自分が変えられないもの、自分がコントロールできないものは、他者の課題として切り捨てるべきとしています。
炭治郎の場合は、”空”という自分ではコントロールできない他者の課題を切り捨てて、自分自身が大切な妹を守るために強くなるという1点に集中すべきなのです。空を睨んでいる暇はありません。
みなさんも他人や環境に振り回されていると感じたら、自分が変えられることと変えられないことを見極め、自分が変えられることだけに集中しましょう!
才能に固執せず、挑み続けることが大切
紅蓮華の歌詞は挑戦することの大切さを歌ったフレーズが散見されます。
乱暴に敷き詰められた トゲだらけの道も
本気の僕だけに現れるから 乗り越えてみせるよ引用:引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
人間には現状維持バイアスという心理があり、変化や挑戦を嫌う傾向があります。現状を維持をすることは生命維持に必要不可欠であり、非常に強力な心理作用です。それゆえに困難に道、いわゆる『トゲだらけの道』へ挑戦することを避けようとします。
しかし、コーネル大学の研究で、人が死ぬ前に最も後悔することは「挑戦をしなかったこと」という研究結果が出ており、挑戦を避け続けて安全な道ばかりを歩むことは死の間際で大きな後悔を残す可能性があるのです。
加えて、紅蓮華には下記のような一節があります。
『逸材の花より 挑み続け咲いた一輪が美しい』
引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
マインドセットの研究で有名なスタンフォード大学の心理学者のキャロル・ドゥエック氏は、20年にもわたる調査で人生の成功には、生まれつきの才能や能力よりも、自分自身の能力は努力で伸ばせるというマインドセットが重要だということを証明しています
まさに「逸材の花」という才能に固執するのではなく、挑み続けることが重要であり、自分の可能性を信じて努力と挑戦を続けることが悔いの残らない人生を送るためにも大切なのです。
また、この一節は、死に物狂いの努力で一つの技を極めた善逸のことを歌ったとも言われています。善逸の魅力については下記をご覧ください。

過酷な状況でもポジティブに成長すること
紅蓮華の歌詞のコアとされているのが下記の一節です。
『世界に打ちのめされて負ける意味を知った』
引用:』LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
過酷な運命や現実を前に挫折や敗北を経験したが、その中で強くなれる理由を得て、また前に進んでいけるという、ネガティブさの中でも何かを得てポジティブに生きていくことを歌った歌詞といえます。
#鬼滅の刃
<竈門炭治郎 立志編>
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— ufotable (@ufotable) September 29, 2019
心理学の世界においても、人間が、親しい人のとの死別など過酷な出来事をきっかけとして、ポジティブな成長を遂げるという現象があることを、多くの研究が明らかにしています。
これを心理学では、心的外傷後成長と呼びます。
炭治郎は、まさに、家族を鬼に殺されるという上記の中でいう「親しい人との死別」を経験しています。炭治郎はそのあまりにも過酷な運命を前にした後、精神的ストレスで弱くなったというよりも、むしろ妹を救うという目的のもとに、より人間として強くなっているようにみえます。
まさに、炭治郎は、「心的外傷後の成長(PTSG)」を経験しているといっても過言ではないのです。
敗北や挫折感を強く感じたときは、そのネガティブな状況の中でも得られるものないか、成長の糧にできないかと考えるとよいでしょう。
挫折を味わうこと敗北を味わうことは、一概に悪いことではなく、若いころの失敗が10年後の成功をもたらすという研究も存在するほどです。
人は他の誰かのためにこそ頑張れる
紅蓮華を貫く大きなテーマであり、炭治郎の強さの原点をあらわしているともいえるこのフレーズ。
『誰かのために強くなれるなら』
引用:LiSA『紅蓮華』(作詞:LiSA 作曲:草野華余子)
実は、人はほかの誰かのためにこそより頑張ることができ、人のためを思った行動は脳内の快楽物質が分泌されるのです。
脳科学者の中野信子氏は下記のように述べています。
自分のためだけに何かをしても脳の中ではそれほど大きな変化は起きません。しかし自分以外のだれかのための行動をしたときには、脳が「よい行動をしているな」と判断し、脳内に快楽物質が出ます。・・・人は自分のためだけより、自分に以外のだれかのためのほうががんがれるのです。
引用:中野信子『科学がつきとめた「運のいい人」』(ベルマーク文庫,2019,204項)
人のために行動をすることは脳内に快楽物質を生み出し、人に幸福感を感じさせるのです。
こういった、人のための行動で気分や能力が向上することを、ヘルパーズ・ハイとも呼ばれます。
ファンのためにこそLiSAでい続けることができるというLiSAは、応援してくれるファンのために頑張ることで無意識のうちにヘルパーズ・ハイを得ていたのかもしれません。
作中の炭治郎は、妹の禰豆子を助けたいというただ一心で、鱗滝左近次の課す厳しい修行にも耐え抜き。また、冨岡義勇に禰豆子を殺されそうになった時も、遥かに各上の義勇の虚を突いて斧により攻撃繰り出し、その一撃はかわされたものの結果として炭治郎と禰豆子の命を救うきっかけとなります。
#鬼滅の刃
第8巻ジャケットビジュアル が公開中です。
竈門炭治郎・ヒノカミ神楽とともに―。収録話数
第十八話「偽物の絆」
第十九話「ヒノカミ」是非、お手に取りください。https://t.co/mDQBVYA7bL pic.twitter.com/GjiMHUkRs9
— ufotable (@ufotable) February 2, 2020
人を助けたいという、自分のためではない他人の幸せを願った行動は、その行動者自身を幸福で満たし、さらに能力をも向上させるのです。他の誰かのためにこそ人は強くなれるのです。
ですので、夢や目標を追いかけるときは、自分の利益だけではなく、他者を幸せにすることを志向すると幸福感と能力の向上の効果を期待できるのです。
まとめ:紅蓮華は人生を切り拓く挑戦者への応援歌
紅蓮華の歌詞から学べる事をまとめると下記になります。
- 自分が変えられる自分自身の課題にだけ集中することが成功にとって大切
- 人生の最後に後悔すること1位は「挑戦をしなかったこと」、そして人生の成功には才能(逸材)ではなく、努力で能力は変えられるというマインドセット
- 大きな喪失や挫折を感じたあと、人はポジティブに成長でき、これを心理学では「心的外傷後の成長(PTSG)」という
- 自分以外の誰かの幸せを願った行動は、脳内に快楽物質をもたらし、脳内物質は人の視野を広げて、創造性を高める効果がある。
紅蓮華を聞いて、挫折を乗り越えたい人、挑戦を後押ししてほしいと考えている人は科学的にも根拠のある内容なので、ぜひ参考にしてみてください!